【4日目】 2013年7月23日午後 =バンテアイ・クデイ タ・プローム=
今日の午後で、この旅の遺跡巡りも最後となる。
= (11)バンテアイ・クデイ <僧房の砦>=
バンテアイは「砦」、クデイは「僧侶、僧房」で、「僧房(小部屋)のある砦」を意味する。
日本の上智大学が研究調査の対象にしている寺院だ。
10世紀に第9代王ラージェンドラヴァルマン2世によってヒンドゥー教寺院として建造された。
その後、第21代王ジャヤーヴァルマン7世によって仏教寺院に改造されている。
旧寺院の石を再利用して再建された、と10世紀の碑文にあったそうだ。
ヒンドゥー様式と仏教様式が交ざり合い併存されている。
東西が一直線に貫かれ、その長さは700m。
観音菩薩の四面塔がある東塔門から入った。
参道の脇では、楽器を演奏する人達がいたり、土産物屋があったりする。
進んでいくと堀があり、ナーガとシンハのテラスがあった。
回廊の門には仏像が安置されていた。
中央部に進むにつれて、ちょっとした迷路のようになっていると感じた。
外周壁の東塔門 ここから西へ抜けていく |
塔門の上の観音菩薩(四面塔) ガルーダの彫像も。 |
塔門にもデヴァターが舞う |
外周壁 |
参道を進むと日本の曲が流れてくる。 門を入る時に無線で連絡していた。 |
内戦による傷病兵だという。 お礼に1ドル。 |
境内のお土産屋 |
シンハの横で 肩を落としている売り子たち |
上智大学の告知ボード |
第三周壁の十字型塔門を見上げる。 たくさんのデヴァターなどの像が彫られている。 |
塔門内の仏像に参拝 |
屋根のない前柱殿 |
塔門を見上げると神話のレリーフ |
壁や柱にはデヴァター |
小さな仏像が、、、。 頭は、、、。 |
中央祠堂から奥行きが一直線に抜ける |
祠堂を遠景で。 |
おじさんが古いバイクで通り過ぎていく。 |
最後の遺跡、タ・プロムに向かう。
= (12)タ・プローム =
第21代王ジャヤーヴァルマン7世が即位後に最初に手がけた寺院であり、
母親の菩提を弔うために建立した仏教寺院。
後にヒンドゥー教寺院に改造された。
そのために仏教色の強い像は剥がされたらしい。
東西1000m、南北700mほどの大きさ。
この寺院の往時を伝える碑文によると、
大乗仏教の僧院として建てられ、1万2640人がこの寺院内に暮らしていた。
高僧18人、僧侶2780人、見習い僧2322人、舞姫615人、など。
3140の村、79365人の人々がこの寺院のために奉仕した。
5トンの金、512反の絹布、523の傘、260対の仏像、35のダイヤモンド、4620の宝石、、、
などがあったと記されているそうだ。
今は、長い間ジャングルの中で放置されていた状態のままに保存されている。
大樹が容赦なく絡みつき、建造物を押しつぶす様に往時の面影はない。
代わって、自然の生命力や破壊力が漲る遺跡として存在しているようだ。
聞いたところによると、アンジェリーナジョリーという女優が主演した「トゥームレイダー」という
映画のロケ地になったという。
確かに、画になるというか異様な光景が広がる。
西門から入った。
西門を入ったところ |
第二回廊に大樹 |
仏像があった。 |
こんな景観。 最初はこれで驚いていた。 しかし、こんなものではすまない。 |
屋根を押しつぶす。 |
第二回廊の有名な巨木。 根なのか幹なのか、、。 屋根を這う巨大なナーガのようでもある。 |
砂岩の塔のある中庭 |
壮観といおうか、、。 こんなにも放置されてきたのか、、。 |
記念にワンショット。 |
デヴァター、そして猿のレリーフ |
所々にデヴァターが残っている |
回廊の塔門 仏陀の像は削られている |
押しつぶされた回廊 |
さすがに補強 |
苔生した回廊に絡みつく大樹 |
欧米人にも人気の遺跡だ |
修復に関しては様々な見解があるようだが、一つには樹木の自然の力を検証するためだという。
現地ガイドは、これらの樹木を除去すると石積みが崩壊するからだと説明していた。
また、これらの樹木を「締め殺し」と呼んでいた。
「締め殺し」とは俗称だそうだ。
ガイドブックや解説書を見ると、スポアン(榕樹・ようじゅ)、カジュマルとなっている。
無花果の樹だとしているものもあった。
大木は樹齢350年~400年位にはなっているらしい。
「絞め殺し」と呼んで、迷惑な存在のような一面も見受けられたが、
忘却の彼方に生まれたこれらの光景を人工的につくることは無理であろうと思われた。
<続く>
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